令和5年第3回定例会

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5894◯教育長(竹内道則君)  私からは、小学校高学年の教科担任制についてお答えいたします。
 まず、教科担任制の意義についての御質問ですが、本市としては、市講師と併せて、質の高い授業、生活指導の充実、さらには先生方の働き方改革につながるものとの意義を見いだしております。こうした意義を踏まえ、専門性の高い市講師や専門教員による授業や、学級担任の教員同士による交換授業などにより、教科担任制を各校で推進しているところでございます。
 次に、大きな御質問1の2)本市で独自に採用している市講師の現況についての御質問ですが、まず2)の1で、現在、市全体で採用している人数は延べ88名でございます。教科別で申し上げると、国語が18名、さらに書写が2名、図書5名、算数・数学が5名、社会が6名、理科6名、生活が1名、音楽が15名、図工11名、家庭科4名、美術1名、体育1名、英語が11名、全科1名、学級活動1名でございます。
 そして次に、2)の2、正規教員、本市独自のサポーター等との業務上の違いについてです。正規教員は、授業の準備や成績処理に加えて、学校運営における分掌を担っております。市講師は、授業の準備や成績処理、評価を行い、学校運営の分掌は担いません。学習指導補助員は、教員の授業準備や子どもの学習を支援しています。
 次に、2)の3、教員1人当たりの授業時間数などについてですが、市講師の導入では、小学校高学年において1人当たりの授業こま数を週20こまにすることを目指しており、今年、令和5年度の2学期の開始時点では平均19.3こまとなっており、目標を達成しております。また、市講師が授業を受け持った教員の週当たりの学校在校時間は、令和3年度は平均で51時間9分だったのに対し、令和4年度、昨年度は47時間30分となり、週当たりで3時間40分近く勤務時間が縮減しており、働き方改革につながっていると考えております。
 最後に2)の4、学校規模や受け持つクラス数に応じた配置や人材確保についてですが、市講師の配置は、学校の学級数に応じて予算を各校に配当しております。人材の確保については、理科を充実させたい、低学年の音楽を手厚くしたいなど、各校で実態に合わせた人材を探しています。その際、学校が自校に適した教員を探すことができるよう、市教育委員会として、東京都が設置した公益財団法人東京都教育支援機構の人材バンクを活用するなどして、市講師の人材リストを作成して支援をしているところでございます。
 次に、教科担任制のやり方についての御質問ですが、本市としては、専門性の高い市講師を含めた専科教員の配置による、特定教科における教科担任制を取っております。また一部の学校では、主に理科、社会、体育といった教科で、学級担任間で授業を交換する教科担任制に取り組んでいるところもございます。お尋ねの教科担任制の理想形については、国や都が配置した正規教員が各校に十分配置され、各教員が自己の専門性を生かした授業を行うというものであると認識しています。
 次に、教科担任制の推進のための教員定数の増加についての本市への影響のお尋ねですが、先ほど与座議員が御指摘のとおり、文部科学省は来年度、小学校高学年教科担任制を推進するため、全国で1,900人の教員を増員する方針を固めたということで、武蔵野市については市全体で1名の加配を見込んでおり、僅かでありますが働き方改革へのよい影響をもたらすものと考えております。
 次に、教員の成り手不足についての御質問ですが、その原因については、長時間労働、授業や子どもへの対応の不安、保護者や地域との関わり方の不安などが考えられるところです。
 他県の調査ではありますが、先日、岐阜県教育委員会が、教職の魅力化に関する大学生調査の結果を発表しました。その中で、休日や長時間労働のイメージがあるが79%、授業ができるかが不安が53.3%、いじめなどの対応が不安が49.4%という結果が公表されております。教科担任制はこうした不安の解消や教員の成り手不足のために行うものではございませんが、教員の専門性を高めることや教員の負担を軽減することの一助になると考えております。
 続いて、大きい御質問1の6)教科担任制導入前から懸念されていた件についての御質問ですが、1から7について、関連した御質問ですので一括してお答えいたします。
 まず前提として、小学校の発達段階では、学習のみならず、心身の健全な育成をはじめとした、国際的にも評価されております全人的な教育を推進していくことが大切であると考えます。
 その上で、6の1から3及び6、7で挙げられた、教材研究への専念、複数の教員での見守り、小学校から中学校への円滑な接続、教科横断的な学び、学級担任とのコミュニケーションについては、学校現場に聞き取りを行ったところ、発問や言葉がけの質が向上した、担任以外の先生がよかったところを褒めてくれて、子どものやる気が向上したといった声が聞かれました。また、教員同士が連携することで教科横断的な学びがやりやすくなり、学級担任1人で抱え込まないことで、児童が様々な大人を頼ることができるようになるなど、懸念よりも効果のほうが大きいものと考えます。
 一方で、6の4と5の時間割の編成や調整については、教員や市講師の都合などを考慮しなければならないため、複雑化していることは課題であると認識してしております。現在各校では、教務主任を中心に工夫をして、時間割の編成に取り組んでいるところです。
 そして大きい御質問の2、武蔵野市の学校教育が直面している課題と対応についての御質問ですが、うまく答えられるかどうか、挑戦したいと思います。
 教育行政という意味では、学校の改築とか、それから一人一人の学習者用コンピューターの更新など、いろいろな課題があるのだと思いますけれども、学校教育の中で申し上げると、授業観の変化、そこへの対応だと思っています。例えば新しい学習指導要領の一番最初のところに、社会に開かれた教育課程の実現ということが書かれております。それの解説は、教育課程を介して、その目標を社会と共有するということになっています。
 教育課程の中ですから、学校が授業を展開するに当たって、その目標を社会と共有しながら進めるというのは、なかなか難しいところがあると思います。土曜日に外部の方をお呼びして、よく授業を行ったりしていますけれども、子どもたちは外部の人たちに触れて、新しい気づきや学びがとてもあると思うのですが、例えばその前と後の関連、あるいはその単元の中での位置づけをどのようにしていくのか、もう少し改善があるところも課題としてあるのだと思います。そういった社会に開かれた教育課程の実現ということが求められていること。
 それから、与座議員が御指摘になった令和3年1月の中教審答申の中では、個別最適な学びと協働的な学びの一体的充実ということがあります。それが目標とされていますが、先生の一斉授業の中で、どの子にとっても一人一人個別最適な学びを実現させる。なかなかそれは難しいと思います。
 それとさらにその下に、個別最適な学びとの協働的な学びを一体的に充実させる。それを今までの授業時間の中で、先生たちにどう実現してもらうのか。これも授業観の転換、授業観を変えていくということが求められているかなと思っております。
 さらには、生成AIに象徴されますけれども、VUCA(ブーカ)と言われる時代とか、知識更新化社会というふうに言われていて、知識を伝えるだけ、チョーク・アンド・トークと言われるような授業、今の学校ではそれが中心になっているわけではないですけれども、そういった知識がどんどん更新される社会の中で、前に申し上げたと思いますが、正解が必ずしも存在しない問いに対して、納得解であるとか最適解を求めていく、そういったことも授業の中でどういうふうに行っていくのか。それもやはり授業観の転換が必要になってくるのだと思います。
 もちろん今まで行っていた教育の中で大事にすることもあると思いますが、そういった変化にどのように向き合っていくのかというのが、一番大きい課題だと思っております。
 その上で、令和5年4月に子どもの権利条例が施行され、子どもが自分らしく安心していられる場所として、学校の役割は一層大切となります。そして一人一人の権利を大切にしつつ、自ら社会を切り開き、多様な他者と協働して、よりよい未来のつくり手となる力を育むことを進めております。こうした取組は、学校、家庭、地域の連携が一層必要であると考えています。
 また、変化が予測できない現代社会においては、知識を受け身で習得するのではなく、子どもたちが学習内容を、自分の興味、関心と結びつけて理解し、生涯にわたって能動的に学び続けるために必要な力を育み、自分のよさや可能性を認識して、自らの力を最大限に発揮できるようになることが大切と考えます。
 これらを統合しながら推進する中で、子どもと教員の、さらには地域社会のウエルビーイングを実現することが、本市の学校教育が目指すところであり、第三期学校教育計画でも取組を進めているところでございます。今後、第四期学校教育計画でも大切にしていきたい視点と考えております。
 以上でございます。

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