
深田貴美子
映像ID: 2570
6282◯4 番(深田貴美子君) それでは、日本維新の会武蔵野市議団を代表しまして、議案第77号、令和4年度の一般会計に反対、また、ほかの会計については賛成の討論をいたします。
令和4年の決算審議に当たりましては、その前年に当たります令和3年度、まさに全国を震撼させた住民投票条例の騒動、これを踏まえる必要があります。思想を分断し、対立の構図をつくり出し、市民の生活空間を脅かす事態となりました。境南ふれあい公園の公衆トイレについても、議会に経過報告なしに予算委員会に予算上程したことから、1億円トイレとやゆされるに至りました。騒動の陰で大きく崩れたものは、市政への信頼であります。令和4年度は、惻隠の情をもって市民の信頼を取り戻す市政であったかどうか、安心・安全を願う市民の気持ちに応える市政であったかどうかという視点で決算質疑に臨みました。
大きく4点申し上げます。
1つ目は、市民ニーズと大きな乖離があります。決算は次年度予算へつなぐ振り返りの作業です。令和4年度武蔵野市民意識調査によれば、市民ニーズは以下のとおりです。1つ目、自転車対策、2つ目、行財政改革、3つ目、災害対策、4つ目、高齢者福祉、5つ目、安全対策と続いています。令和4年度施政方針と予算措置と市民の求める施策に大きな乖離があったことは明らかであります。
2つ目です。それもそのはず、抜本的な行財政改革が停滞しています。以下3点申し上げます。
14もの財政援助出資団体の統合のみならず、その必要性の検討が必要です。直近の財政援助出資団体の運営状況等のヒアリング報告では、委託費、補助費総計128億9,405万1,000円、人件費総計63億2,607万4,000円であり、令和4年度の武蔵野市一般会計歳出決算額に比すると、その総額は約17%に及んでいます。市の主たる施策にひもづくことから、館の管理は公募対象から外れ、全く市場の競争原理が働きません。このまま市役所を頂点とする大きな政府であり続けてよいわけがありません。
とりわけ、公益財団法人武蔵野健康づくり事業団については、人間ドック事業が医療法7条に基づいて民間医療機関と同等の診療所であることが質疑により明らかになりました。東京都保健医療局案内サービスひまわりを検索しますと、武蔵野市内には24もの人間ドック検査機関があり、このたびの保健センター増築並びに機材の充実、人材の育成といった事業展開については、市民病院は要らない、民業圧迫だとの声も聞こえています。年間1,400人の利用の現状、そして昨年度も赤字の経営実態、まさに館の増設はおろか、サービス自体の必要性の検討を迫るべき事案であります。保健センター増築については、まさに全市民的議論の必要があると御提言申し上げます。一度立ち止まってみるべきではないでしょうか。
2つ目です。地方公会計改革に基づく会計処理の見える化に取り組んでいただきたいと思いました。吉祥寺本町2丁目陥没事故については、いまだ事業者との協議が終局しておらず、訴訟のリスクも予見できることが質疑を通じて明らかとなりました。本件に関わる4,200万円もの費用のうち、企業会計分野はペンディング費目として計上しているものの、他の費用については費目計上していることが明らかとなりました。全ては市民の皆様からお預かりしている血税であります。決着のついていない事案の会計処理の見える化に努めるべきと提言を申し上げます。
そして3つ目は、自治体DXの進捗が見えないことです。第六次総合情報化基本計画に基づいてICTを活用したまちづくりを推進しており、今後さらなる自治体DXに関する様々な取組を進めていくとしていますが、具体的な成果や取組が見えません。せっかく高橋明子CIO補佐官を招いたわけですが、果たして意味があったのでしょうか。RPAの導入で効果を上げているという答弁が続きましたが、RPAなど、どの自治体もやって5年以上前から取り組んでおり、著しい成果とは言うことができません。議会資料も執行部側がタブレットを使っていないということもあり、ペーパーレスにはいまだ至っていません。市役所業務の効率化において成果が伝わってこず、いまだ全容や進捗が見えていません。本計画が名前負けに終わらないか心配をしている。
そして大きな3つ目です。人口増加頼みの財政予測であります。改定した第2期武蔵野市公共施設等総合管理計画は、人口推計を大幅に増加する修正を施すことにより、基金の枯渇と財政危機を数字上回避した形となりました。これまで本市は、人口は13万人、土地の細分化を避け、隣地との離隔を取り、緑を大切にすることにより、豊かな住空間の保障をもって武蔵野市のまちづくりとしてきました。質疑により、今後は井ノ頭通り、五日市街道、三鷹中央通りの沿道や、容積率の高い用途地域に土地を集約し、低層集合住宅開発が進んでいくことを是とする緩和型まちづくりにシフトチェンジすることが確認できました。低層戸建ての住宅街の中に、突如、3階から5階建ての集合住宅がそこここに建てられており、日影問題、プライバシー問題、工事中の騒音振動問題と御相談が寄せられています。
いずれにせよ、第2期武蔵野市公共施設等総合管理計画69ページに記載のあります、向こう30年間にわたる事業経費見込みは約2,966億円、これに、上水道の一元化に関わる清算経費や下水道インフラ整備、吉祥寺駅、三鷹駅北口の再開発再整備の事業費は含まれていないことも確認しました。財政逼迫を、行財政改革による努力も行わず、市民の利便性を最重要視した公共施設の複合化、多機能化によるコスト削減も行わず、住民の住環境を圧迫してまで人口増加を目指すまちづくりについては、まさに全市民的議論が必要な事案と思料いたします。人口増加頼みの財政推計を計画行政と呼べるのでしょうか。
大きな4つ目です。議会軽視は市民軽視につながります。平成27年に遡る株式会社コスモズの保育園補助金不正受給をめぐっては、議事録に残らない懇談会で説明を済ませたり、他の自治体に比して経過報告が遅滞したり、いまだ公開性に乏しい状況にあります。質疑において、平成27年の委託当時、プロポーザルも導入せず、選定委員会も設置せず、対策本部会議なる市役所内部で事業者を決めていたという、あきれ果てた状況にあったことが明らかになりました。駐輪場市有地売却問題でも指摘されているように、全ては市民の財産であり、市民の安全を最優先に、法令遵守の下、説明責任を果たせる市政でなければならないと思います。
最後に、歳入の上振れという言葉、この答弁が幾度となく聞こえてきました。今後、物価の高騰、増税の兆しの中、自治体として公共料金での還元もやむなくできませんでした。まずは行財政改革に臨むべきと思料いたします。次年度予算では、多世代にわたる生活支援、例えば、調布市を参考にした高齢者のおむつの支給対象の見直しや、補聴器の補助、浴槽改修の補助の徹底、介護報酬改定による事業者様の支援、そして子どもたちの給食費の即行での無償化等の反映を御確約いただき、市民の願う安全と安心の市政へと転換いただきたいと強く要望し、壇上からの討論といたします。
(7 番 本多夏帆君 登壇)(拍手)