
橋本しげき
6519◯19番(橋本しげき君) 日本共産党の橋本しげきでございます。今回の一般質問、私は、物価高騰対策について、有機フッ素化合物(PFAS)問題についてと題して、大きく2点の質問をいたします。
まず大きな1つ目に、物価高騰対策についてです。
物価高騰に暮らしの悲鳴が上がっています。今回の物価高騰が、とりわけ国民生活にとって苦しく深刻な打撃となっているのは、30年という長期にわたって、経済の停滞と衰退──いわゆる失われた30年──で暮らしの困難が続いているところに、物価高騰が襲いかかっていることによるものです。この失われた30年は自然現象ではありません。財界、大企業の利益のための政治によって人為的にもたらされてきたものです。
その政治の内容とは、第1に人件費の削減です。財界の要求に応えた労働法制の規制緩和、雇用破壊の政治が、非正規を雇用労働者の4割にまで広げ、低賃金構造を拡大、固定させるとともに、正社員の長時間労働を蔓延させました。人間を使い捨てにする働かせ方を広げ、働く人の命と健康を脅かし、その家族にまで犠牲をもたらす長時間労働をはびこらせた結果が、大企業の目先の利益は増えても実質賃金は下がり、経済成長できない日本にしてしまいました。
第2に法人税減税です。度重なる大企業の法人税減税と大株主や富裕層への減税や優遇税制が続けられ、その穴埋めとして消費税の連続的な大増税が強行されました。消費税増税の強行のたびに家計消費を冷え込ませ、中小企業、小規模事業者に甚大な打撃を与え、景気悪化を深刻にし、労働者の実質賃金低下の深刻な要因ともなりました。
第3に、企業の社会保険料の負担軽減による社会保障改悪です。財界は社会保障を敵視し、その削減を一貫して要求してきました。2000年代からは、社会保障費の自然増まで抑え込む異常な切下げが開始され、医療、介護、年金など、社会保障の果てしない制度改悪が繰り返されてきました。これらにより労働者の実質賃金は、1996年のピーク時から、年64万円も減少しました。日本経済の5割以上を占める家計消費の落ち込みは、国内経済を停滞させ、国民1人当たりのGDP(国内総生産)は、G7でアメリカに次ぐ第2位だったものが、現在では最下位となりました。
一方で大企業は利益と内部留保を急膨張させました。30年間で大企業の売上げは16%増にすぎませんが、税引き後の最終利益は11倍となり、大企業の内部留保は今や510兆円を超えています。10年間で180兆円も積み増したことになります。中でも輸出で利益を上げる大企業は、内需がどれほど冷え込んでも巨額の利益を増やし続けており、日本経済に深刻なゆがみをもたらしています。
どれだけ大企業の利益拡大を応援しても、富は一部の巨大企業と富裕層に滞留し、国民の暮らしは苦しくなり、経済は停滞します。結局アベノミクスというのは、国民から収奪して、大企業の利益を最大化するための経済政策でした。岸田政権もこの政治から抜け出せず、日本経済のかじ取りの能力を失っています。
こうした状況を打開するため、日本共産党は、9月に経済再生プランを発表しました。30年に及ぶ経済停滞、暮らしの困難を打開するために、3つの改革で暮らしに希望をと題して、大きく3つの提案を行っています。
1つ目は、政治の責任で賃上げと待遇改善を進めることです。これは人間を大切にする働き方への改革です。物価上昇を上回る賃上げを、政治の責任で、あらゆる分野で進める。非正規ワーカー待遇改善法(仮称)をつくり、待遇改善と正社員化を進める。過労死を生み出すような長時間労働をなくすということを目指します。
2つ目は、消費税減税、社会保障充実、教育費負担軽減です。これは、暮らしを支え格差をただす税・財政改革です。消費税減税、インボイス中止、中小企業の過剰債務問題の解決を進める。暮らしを支え、権利を保障する社会保障を築く。子育て支援を抜本的に拡充し、男女ともに家族的責任を果たせる働き方に改革する。暮らしを守り、格差を是正する税・財政改革を実現するということを目指します。
3つ目は、気候危機の打開、エネルギーと食料自給率向上です。これは持続可能な経済社会への改革です。気候危機打開、省エネ、再エネを推進し、脱炭素、原発ゼロの日本をつくる。食料自給率の向上で食と農業を守るということを目指します。
日本共産党は、暮らしと経済を破壊する政治を終わらせ、暮らしと経済を応援する政治に切り替えます。
武蔵野市においては、昨年、補正予算を組み、様々な対応をされ、今年度も引き続き物価高騰対策を実施されていることを評価します。物価高は依然として続いております。市民の生活実態を細かくつかみ、さらなる対応を求めます。
以上を踏まえまして、物価高騰対策について、以下質問いたします。
1点目の質問です。物価高騰が続く中、市民生活がさらに大変になっていると考えられますが、見解を伺います。
2点目の質問です。市として様々な取組を行ってきたとはいえ、市民生活が大変な下で、物価高騰に対してさらなる対応が必要だと考えますが、見解を伺います。
3点目の質問です。来年度は3年に一度の介護保険制度の見直しの年度となります。国や東京都から、国保税を引き上げさせようとする圧力もあります。介護保険制度の見直しによる負担増、国保税などの引上げは行わないことを求めますが、見解を伺います。
4点目の質問です。市民や市内事業者を支援するため、水道・下水道基本料金の免除を実施することを求めますが、見解を伺います。
5点目の質問です。くらし地域応援券は第3弾まで実施され、大変好評だったと認識しています。くらし地域応援券の第4弾など、暮らしや地域経済を支える施策を求めますが、見解を伺います。
6点目の質問です。今年の夏は世界の平均気温が観測史上最高となりました。グテーレス国連事務総長は、地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が到来したと、危機感を訴えました。これ以上の気候危機を何としても食い止めなければなりませんが、既に私たちが経験したことのない暑い夏がやってきています。暮らしを支え、酷暑、猛暑から命を守るために、高齢者や低所得者などに対して、エアコン購入設置費及び電気代への助成を行うことを求めますが、見解を伺います。
7点目の質問です。公共料金など市民負担を増やすことになれば、物価高騰から市民の暮らしを守ることと逆のことになってしまいます。公共料金の引上げなどによる市民負担増や市民サービスの削減は行わないことを求めますが、見解を伺います。
次に、大きな2つ目に、有機フッ素化合物(PFAS)問題についてです。
PFASとは有機フッ素化合物の総称で、約4,500種類以上あるとも言われております。代表的なものにPFOSとPFOAがあります。普通の有機物質は炭素と水素が結びついたものが基本構造ですが、水素の代わりにフッ素が置き換わったものです。これらは水や油をはじく、熱に強いなどの性質を持つために、フライパンや炊飯器のフッ素コーティング製造、ハンバーガーなどの食品の包み紙、化粧品、傘、レインコート、靴、カーペットなど、幅広く使われてきました。そして今問題の泡消火剤にも使われています。
PFASは、もともと1930年代にアメリカのデュポン社で開発後、最初は原爆製造のウラン濃縮過程に使用され、軍事機密だったと言われております。戦後は民生品に開放されました。PFASは自然環境下ではほとんど分解されず、残留性、生物蓄積性があり、永遠の化学物質、フォーエバー・ケミカルと呼ばれています。河川や海水、土壌中に存在し続け、地下水や農作物を汚染するとともに、プランクトンから魚などへと生物濃縮していきます。
人が摂取すると、排出されにくい性質のために人の血液中などに蓄積し、母乳からも検出されています。過去の日本人の血液分析では、PFOSは1960年代から、PFOAは1975年頃から、その物質にさらされてきたと考えられています。動物実験で健康影響が確認され、人間にも健康被害が指摘されています。
日本も加盟している残留性有機汚染物質に関する条約、いわゆるストックホルム条約では、2009年にPFOSの製造、保有、使用が禁止され、2019年にはPFOAが禁止されました。しかしその代替物質とされる物質も別のPFASの一部です。日本国内では水道の水質管理目標設定項目に位置づけられ、PFOSとPFOAの合計値を、1リットル当たり50ナノグラム以下とすることになっています。1ナノグラムは10億分の1グラムです。
現在、各地の井戸水や水道水などからPFASが検出されていますが、汚染の実態はまだよく分かっていません。多摩地域では米軍横田基地でPFASを含む泡消火剤が土壌に漏れていたことが指摘されており、東京都の調査で、横田基地近くの立川市の井戸では、国内暫定目標値の27倍もの高濃度の汚染が確認されています。沖縄県でも米軍基地周辺でPFAS汚染が相次いで明らかになっています。ほかにも青森県の三沢基地、神奈川県の横須賀基地や厚木基地で、基地の排水からPFASが検出されています。
PFASは様々なものに使われていますので、さらに多くの地域で広範囲が汚染されている可能性があります。例えば大阪府摂津市の空調メーカー、ダイキン工業の製作所周辺で汚染が広がっていることが指摘されています。
国の責任でこうした汚染状況の調査、科学的知見に基づいた基準の策定、汚染源の特定と対策を行う必要があります。また市としても、PFASによる汚染に対して必要な対策を取り、市民の不安に応えることが求められていると考える立場から、以下、質問をいたします。
1点目の質問です。10月27日の建設委員会勉強会で、市の担当のほうから武蔵野市の現状が報告されました。武蔵野市の水源井戸の位置と測定結果を見ると、測定値の比較的高い井戸が帯状になっており、地下水の流れを示唆するものとなっています。全ての水源で暫定目標値を下回っているとはいえ、2019年度と2022年度の調査結果を比較すると、全体としてPFOSとPFOAの合計値は増加傾向にあるように見えます。そこで武蔵野市の現状認識について見解を伺います。
2点目の質問です。武蔵野市ではPFOSとPFOAについて、市内に2か所ある浄水場から送水──送られる水道水──について、毎年度水質調査を行っています。また各水源ごとに測定を行っています。加えて18か所ある学校避難所用井戸の全てに非常用浄水器を設置することが進められつつあります。そこで、武蔵野市で現在どのような対策を行っているか、見解を伺います。
3点目の質問です。11月22日付で、横田基地に関する東京都と周辺市町連絡協議会が防衛大臣と北関東防衛局長宛てに、横田飛行場内における泡消火薬剤漏出への対応についてという要請を提出いたしました。
これは、11月3日の沖縄タイムスで、1月に横田基地から日本の暫定指針値の5万4,000倍の濃度のPFASが漏れていたと報道されたことに対しまして、国から事実関係が示されていないことを受けての要請です。この要請の中では、1、本件に関するPFOS等漏出の有無を直ちに明らかにするとともに、事実関係についての詳細な情報を、東京都及び基地周辺自治体に速やかに提供すること、2、横田基地内でのPFOS等を含む泡消火剤の現在の保有量、保管場所及び使用の実態について、速やかに情報提供すること、3、これまで情報提供があったものを除き、PFOS等の漏出があった場合には、その全てについて詳細な情報提供を迅速に行うことなど、4点にわたる要請がなされています。
この要請に関して、以下2点質問いたします。
1)この要請の内容について、武蔵野市としても同様の認識なのか、見解を伺います。
2)武蔵野市としてこうした自治体と協力していく必要があると考えますが、見解を伺います。
4点目の質問です。米軍横田基地が過去のPFASを含む泡消火剤の漏出を認めており、多摩地域のPFAS汚染の最大の汚染源の疑いが強まっています。日本共産党国会議員団東京事務所と多摩地域の地方議員団は、横田基地でのPFASを含む泡消火剤の漏出について、防衛省に何度か説明を求める場を設定しており、私も参加しておりますが、まともに米軍に対して物を言おうとしない防衛省の姿があります。一体防衛省はどこの国の立場を代弁しているのかと、怒りと情けなさでいっぱいです。在日米軍基地との関係で、汚染を明らかにする上では、抜本的には日米地位協定を変える必要があります。しかし現状でも可能な立入調査はあります。しかし日本政府にやる気がないということが大問題だと思います。
横田基地の北東部には消火訓練場があり、PFASを含む泡消火剤を使った消火訓練が定期的に実施されてきました。消火訓練で放出された泡消火剤は空気中に拡散し、20キロメートルから30キロメートルも飛散します。また周辺土壌中にしみ込んでいき、長年にわたって地下水にしみ出していきます。PFASの汚染の実態を調査し、汚染源を特定し、対策を行わないとすれば、将来にわたって人体への被害を防げないことになります。そこで国と東京都に対して全面的な調査と対策を求めるべきだと考えますが、見解を伺います。
5点目の質問です。PFASの健康被害についてです。アメリカではデュポン社が環境に排出したPFOAによる汚染で、190頭の牛が病死するという事件がありました。1998年、牛を飼育していた牧場主が裁判に訴え、その後、デュポン社による地域の飲料水汚染の裁判の中で、2012年に次の6つの症状との関連が確認されました。妊娠高血圧症候群、精巣がん、腎臓がん、甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎、コレステロールの増加です。
その後、EUの環境保護庁の健康リスクに関する見解として、確かな健康リスクがあるものとして、甲状腺疾患、コレステロール値の増加、肝障害、腎障害、精巣がん、低出生体重児、乳房の発達遅延、ワクチン接種効果の減弱が挙げられています。このほかにも可能性が中程度として、乳がんなどが挙げられています。
さらにアメリカ環境保護庁(EPA)は、専門家の研究により、一定レベルのPFASにさらされると、以下のような影響が出る可能性があるとしています。1)生殖への影響。妊娠中の女性における生殖能力の低下や高血圧の増加など。2)子どもの発達の遅れや悪影響、低出生体重児、思春期早発症、骨の変化、行動の変化など。3)がんのリスクの増加。前立腺がん、腎臓がん、精巣がんなど。4)ワクチン反応の低下など、感染症と闘うための身体の免疫システムの能力低下。5)体内の自然なフォルムを阻害する。6)コレステロール値の上昇、肥満のリスク。7)乳がん、妊娠高血圧症、甲状腺疾患、潰瘍性大腸炎のリスクといったものです。
PFASの毒性や健康被害について知ることは、必要な対策を取るための前提となります。PFASの毒性や健康被害について、積極的に市民への情報提供を行うことを求めますが、見解を伺います。
6点目の質問です。海外ではPFASの規制強化に向けた動きが加速しています。アメリカ環境保護庁(EPA)は、今年3月にPFASに対しての法的拘束力のある水道水基準値案を公表しました。その値は、PFOS、PFOAがそれぞれ単独で1リットル当たり4ナノグラム以下です。この値は測定法での定量下限値となっているそうで、現状の測定法で検出された場合は基準値を超えるということになります。
EPAは、健康を維持するためには飲料水中のPFASはゼロにするべきとの方針を出しています。またデンマークの水道水質基準の上限値は、PFOS、PFOAなど4種類のPFASの合計で、何と2ナノグラムです。日本の暫定目標値は1リットル当たり50ナノグラムですから、アメリカやデンマークに比べて非常に甘いと言わなければなりません。国に対してPFAS規制値の早期設定を求めるべきと考えますが、見解を伺います。
7点目の質問です。PFASによる汚染をこれ以上広げるわけにはいきません。国や東京都に対して、PFAS除去策の実施、健康被害防止策の徹底を求めるべきだと考えますが、見解を伺います。
8点目の質問です。多摩地域では、市民団体、多摩地域のPFAS汚染を明らかにする会と京都大学の原田浩二准教授が、住民の血液検査を実施しました。昨年11月から今年3月までに実施し、27自治体に住む650人分の分析を行いました。
ところでPFASの血中濃度の指標は日本にはありません。アメリカの学術機関とドイツの政府諮問機関は、血液1ミリリットル当たりの指標値を設定しています。アメリカでは、7種類のPFASの合計値が20ナノグラムを超え、ドイツでは、PFOSが20ナノグラム、PFOAが10ナノグラム以上で健康被害のおそれがあるとされています。
多摩地域で行った血液検査では、調査したほぼ全ての人からPFASが検出され、調査した半数以上の方から、アメリカで健康被害のおそれがあると定められる血中濃度の指標を超えるPFASが検出されました。高濃度の住民は米軍横田基地の東側地域に集中していることが鮮明になりました。基地から漏れ出したPFASが地下水に入り込み、住民が水道水を通じて取り込んだ可能性が指摘されています。都内の地下水は基本的に西から東の方向へ流れていますので、地下水の上流に位置している横田基地が汚染源として影響している可能性が高まっています。
国がPFAS汚染の実態や排出源の調査、人体などへの影響の調査に消極的な中、住民と研究者が協力して汚染の状況や血中濃度の調査を進め、その結果を公表してきたことは、問題の重要性を浮き彫りにする上で大変大きな意味があると考えます。PFASによる汚染の実態をさらに把握するために、国や東京都に対して希望者の血液検査等を行うよう求めるべきと考えますが、見解を伺います。
9点目の質問です。PFASの汚染状況の全容はまだ明らかになっておりません。武蔵野市内では、水道水を中心とした検査はされておりますが、その他の汚染状況はよく分かっていません。そこで、希望する市内の土壌や農作物、井戸について検査を行い、高濃度のPFASが検出された場合には十分な説明を行い、井戸水の使用停止も含め、市民にも御協力をいただいて、浄水器の設置への補助を行うことを求めますけれども、見解を伺います。
10点目の質問です。先ほど述べた多摩地域の住民を対象にした血液検査では、住民に浄水器を使用しているか、使用していないかも聞き取りしています。使用していると答えたグループは、使用していないと答えたグループよりも、PFASの血中濃度が低いことが分かりました。これはPFASの主な摂取経路が水道水となっていることを示唆しています。かつ浄水器は効果があるということが示されていると考えられます。
住民はPFASの被害者であり、住民に責任はありません。そこで住民の健康を守るため、学校、保育施設、福祉施設、公共施設などに対して、水道水へのPFAS除去の浄水器設置や、市民が浄水器を設置した際の補助を行うことを求めますが、見解を伺います。
以上大きく2点について答弁を求めまして、壇上からの質問を終わります。