12406◯17番(山崎たかし君) 陳受6第1号 「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情について、自由民主・市民クラブを代表して、反対の立場から討論させていただきます。この後提出予定の議員提出議案第2号についても、反対の立場から述べさせていただきます。
性差別をなくしていくこと、このことはとても大事なことです。陳情のこの趣旨には賛成いたします。しかし、第211回国会に提出された女子差別撤廃条約に関する質問主意書の中にある、いまだに選択議定書の批准をしていない、その理由を明らかにされたい。これに対しての回答は、我が国の司法制度や立法政策との関連での問題の有無や、個人通報制度を受け入れる場合の実施体制等の検討課題があると認識している。個人通報制度の受入れの是非については、各方面から寄せられている意見も踏まえつつ、政府として真剣に検討を進めているところであると、内閣は真剣に検討していますが、批准にはまだ検討課題があるということを答えています。検討課題がある状況で無理に批准をすることは、今後の日本にとって、その検討課題が何かしら悪影響を及ぼす影響があります。
女子差別撤廃条約実施状況第9回報告(女子差別撤廃委員会からの事前質問票への回答)、令和3年9月、この中には、皇室典範に関し、現在、女性皇族には皇位継承が認められないとする規定が含まれているが、女性が皇位を継承することを可能とするために締約国が取ろうとしている手続の詳細を提供されたいという、女性天皇という皇室典範に対する質問まで来ています。このことはこの前からも来て、日本はそれに対して反対、抵抗しているにもかかわらず、何度も出ている。そのような状況。まさに内政干渉であり、重大な検討課題と言えます。
同じときの質問では、慰安婦問題に関する質問もいまだに来ています。既に解決しているはずの外交問題に対して質問してくる。これも重大な検討課題と言えます。
エンターテインメント関係でも大きな問題があります。女子差別撤廃委員会の第7回及び第8回合同定期報告に関する最終見解では、差別的な固定観念を増幅し、女性や女児に対する性暴力を助長するポルノ、ビデオゲーム、アニメの製造と流通を規制するため、既存の法的措置や監視プログラムを効果的に実施することと書かれています。しかし、そのようなデータ、論文など、根拠は示していません。この中には検閲とも言える、憲法違反になるような行為も求められています。
国会議員などが入っている全国フェミニスト議員連盟が、松戸市御当地ユーチューバーに対して抗議をした際には、この女性差別撤廃委員会の意見が材料にされています。正式に批准されれば、司法などの判断などなく、この意見を基に、自分たちの判断で表現の自由を侵しかねないおそれがあります。
女性差別撤廃委員会ではないですが、同じ国連の機関である国連女性機関から、日経新聞に出された「月曜日のたわわ」という漫画の広告掲載に対して抗議が来るなどもしています。批准されれば、さらなる国連からの圧力が強まるおそれがあります。
武蔵野市は、商工会議所が「アニメノマンガノムサシノ」を進めるなど、エンターテインメントに力を入れています。このエンターテインメントは創作物であり、実際の被害者はいない状況です。もし実際の被害者がいる、このような女性差別が被害者だ、そのようなことをおっしゃるのであれば、推理小説などで人が殺された、それも殺人事件と同じような扱いだ、そのようにもなってしまいます。このような多くの表現の自由に対して、過激とも言える意見が来ている。
この状況で、武蔵野市が今後何かしらの漫画、アニメの作品とコラボしたとき、今までの女子差別撤廃委員会、または全国フェミニスト議連などいろいろな団体から、この女子差別撤廃委員会の意見を材料に抗議が来た場合にどうするのでしょうか。私は不安に感じます。日本の大事な大衆文化を破壊されかねない外圧とも言えます。このような表現の自由の侵害、検閲という、憲法違反を求めるような意見を出してくるようでは、やはり重大な検討課題があると言えます。このような日本の歴史や文化、政治的背景を調べているのか、疑問に思える委員会の意見、これが出されている状況では、批准に慎重な態度が必要です。
また、男女平等という面からはどうでしょうか。今回の陳情で求めているものは、新しく女性だけに権利をつくる、そのようなものになります。男性にも性的な差別は存在します。にもかかわらず、女性にだけ新しい権利を与えるということは、逆差別、男性差別へとつながりかねません。男性にも同様の権利を求めるのであれば分かります。しかし、女性にだけ新しい権利を与えるというのは、男女平等の観点から見て矛盾が生じます。
陳情ではジェンダー・ギャップ指数に触れられていました。ジェンダー・ギャップ指数を基に、男女平等の実現が途上と書いてあります。本当にそうでしょうか。例えば上位の国の中には、戦争や大虐殺の結果、男性が減ってしまい、女性が政治、経済の重要な立場に立たざるを得なかった国もあります。子どもができると男性が責任逃れして逃げてしまう。だからシングルマザーで働く女性が多くなる。または男性が働かないため、女性が子どもたちのために働く。そういう国もあります。誘拐婚という、女性の同意もなく、女性をさらって結婚してしまう。そういう風習が残っている国もあります。被害者が重傷を負わない場合に限り、家庭内暴力の最初の一撃を刑罰の対象にはしないという、平手打ち法なるものがある国もあります。そのような国よりも日本のほうが男女平等ではないと言えるのでしょうか。とてもそのようには思えません。
男女共同参画局のホームページを見ると、ほかにも様々な指数が載っています。ジェンダー開発指数ですと191か国中76位、ジェンダー不平等指数だと191か国中22位と、指数によって全然順位が違います。このような順位の上位のもの、中位のものは見ないで、下位のものだけ取り上げて、日本が世界的に男女差別が強いというふうに見せかけるのは誘導でしかなく、事実に沿っていません。
ジェンダー・ギャップ指数上位の国の中には、専業主婦に対して怠けているかのように扱う国もあります。そのために、働く女性が早くから多く、高い地位に就く女性が多かった国もあります。日本では今も専業主婦を望む女性が多く、専業主婦の地位向上も求められています。そのことを考えると、一概に働く女性が増えることが日本の女性の望むことなのでしょうか。働きたい女性が働き、評価をされることは大事です。それに対して差別があれば改善は必要です。しかし専業主婦を望む女性が多い以上、外国並みの働く女性のデータにする必要は果たしてあるのでしょうか。それよりも専業主婦の地位向上をもっと世界的に訴えることのほうが、多様性のある、日本らしい男女平等へつながるのではないでしょうか。
権利侵害や差別などはあってはならないことです。しかしそれは女性差別だけではない。表現の自由も大事です。男性差別への問題も大事です。今のように、表現の自由に対して対立を生んでしまう、男性にはない権利を新たに女性に与える、そのような対立を生みかねない今の委員会の状況を見るからには、重大な検討課題が存在していると見られ、批准を進めることができない。そういう立場から反対の意見とさせていただきます。
(22番 山本ひとみ君 登壇)(拍手)