12407◯22番(山本ひとみ君) それでは、ただいま議題となっております陳受6第1号 「女性差別撤廃条約選択議定書の批准を求める意見書」提出に関する陳情、この陳情に賛成ですので討論をさせていただきたいと思います。また、この次の議案にも私は意見書提出に賛成をいたしますので、併せて申し上げたいと思います。
この陳情は、女性差別撤廃条約に基づいて選択議定書を日本が早期に批准することを求めるもので、批准によって個人通報制度と調査制度を利用することができるというものであります。陳述も伺いましたが、陳述された方は、男女の賃金格差が年齢とともに大きくなること、その背景に介護や育児の負担があること、また、活動してきた中で、女性の権利が侵害されてもその権利が回復されないことがあったことなどを話していただきましたが、それは私自身が体験したことと重なり、大変共感をいたしました。
また、陳述された方から資料が提出されましたが、この問題について意見書の採択は全国で進んでおり、この3月4日現在では215の自治体ということで広がっていることを実感いたしました。
それでは、総務委員会に関して様々な議論がありましたので、幾つかの点において異なっていると私が感じたことを申し述べたいと思います。またこれは、先ほど反対討論をした方がいらっしゃいましたが、その方の意見に対して私の見解を述べるということでもあります。
まず、女性に特別な権利を与えるのかという意見がありましたけれども、現状において男女の性差による差別で言えば、女性が差別されているほうが圧倒的に多い。このことをぜひ直視していただきたいと思います。そのことをきちんと見ないといけないです。女性は妊娠をする、出産をする、それによってキャリアが中断する例もあります。それは、妊娠や出産を男性が代わることはできない。よりどちらが差別されているか。ここはやはりよく考えていただきたいと私は言いたいと思います。
ですから、女性の総合相談とか女性の専用車両があるということ、これはそういう差別に基づいて、今必要だからあるということを訴えたいのです。男性、女性は、今は全く同じではありません。非対称なのです。そしてとりわけ、健康とか福祉ではなくて、政治や経済の分野で差があるということを直視すべきだと私は思います。
また、先ほどの反対者は、国連の機関からの人権の提言、これがあたかも内政干渉に当たるかのような意見がありましたけれども、これも私は事実に基づいていないと思います。日本は人権において国際的な視野が求められています。何度も何度も国連の機関からは人権に関する提言があるわけですけれども、それを受け入れて、日本が国際社会でもきちんとした地位を占めるということが今求められていると、私は思います。
慰安婦問題についても先ほど意見がありましたけれども、慰安婦の問題に関しては、これはまだ十分な解決が図られていると私は思っていません。戦争における性差別、性暴力の問題、慰安婦の問題は、今も解決しなければならない重要な問題であると訴えたいと思います。
しかも日本はこの条約を批准してから、非常に長期にわたって選択議定書を批准していないのです。議論する時間は十分にあったと思います。そして議論して、それを国内的な法体系に結びつけたり、制度の整備をする時間もあったにもかかわらず、やってこなかった。このことをやはり私は考えなければいけないと思います。
さらに表現の自由に関して申し上げます。表現の自由の中で、これは例えばSNS(ソーシャルネットワークサービス)に何を書いてもいいかとか、あるいはアニメや漫画でどのような表現をしてもいいかというと、私はそれは違うと思います。差別に当たるようなこと、人の人権を侵害すること、これを無制限にやることはできません。他者の人権を尊重する姿勢が必要であるということを私は訴えたいと思います。
また今日、女性の体の特定の部分を評価する人も一部にはいらっしゃいますけれども、これは女性を一定の視点で見るということにつながり、対等、平等な人間関係を紡いでいく上では、このことは私は違うと考えております。
ここで私自身の思いもちょっとだけお話をいたしますと、私自身は学生時代から、男女は平等であるべきだとずっと思っておりましたが、でも、社会に出てから幾つも平等を阻む壁があることを痛感してまいりました。議員になってからも、子どもに病気や障害があったときに、その場合、女性の保護者、母親に、より多くの負担がかかったということもまれではありませんでした。市の女性相談に行ったこともありますけれども、やはり男性とは別の相談場所があることが、離婚とかDV(ドメスティックバイオレンス)とか、深刻な相談を親密に相談するには必要であるということを痛感いたしました。
最後のほうに、私自身の昨年9月議会での一般質問について、当時の松下市長から答弁がありましたので、少し長いのですが、それを紹介したいと思います。それは、性差別、性暴力のない社会への取組について私は質問いたしまして、男女差別の実態、雇用や社会的な立場、家庭内での位置の現状や課題をお尋ねし、政治、経済分野に関しては差があるということで、これが社会的格差に反映しているのではないかということを私は申し上げました。当時の松下市長の答弁は非常に理解できるものでありましたので、それを御紹介いたします。
まず男女差別に関しては、答弁では、令和4年度に実施した男女平等に関する意識調査で、男女の地位は平等になっていると思うかということについては、「家庭生活や職場、政治など5つの分野では、男性のほうが優遇されているとする意見が50%を超えており、多くの分野で男性が優遇されていると感じる人が多い実態があります」と答えています。そして、「雇用における現状と課題につきましては、東京都における女性の所定内給与は男性の7割程度です。都内の正規雇用率は、男性は8割程度であるのに対し、女性は5割以下です。また女性の非正規雇用は、年齢別に見ると25から34歳が最も低く、年齢が上がるにつれて非正規雇用の割合が増加しています」という答弁です。
市のことに関して言えば、松下市長はこう答えています。「男女平等社会を実現するため市の施策に望むことについては、男女ともに、育児・介護制度の充実が最も多く、また男性が約4割なのに対し、女性は約6割で、実際に子育ての負担が大きい女性の要望が高いです。課題として、育児・介護制度の充実に継続的に取り組む必要があると考えております」。このような答弁が当時の市長からありましたことを御紹介したいと思います。ぜひこういうことは、現在の市長にも受け継いで頑張っていただきたいと思います。
最後に、武蔵野市に対する要望を2点述べたいと存じます。武蔵野市にあっては、選挙権の行使や各種の補助金の支給に関して、これは世帯単位になっておりますが、やはり大人であれば個人宛てにしていただきたい、これを求めたいと思います。男性が世帯主である場合が多いわけなのですけれども、そうすると権限や金銭の管理ということをやる人が、やはりどうしても男性という場合が現状では多い。成人となった人には個人で送ることが平等を実現する上で大切だと思います。ですので、ぜひ選挙の投票券や各種の補助金支給に関しては御検討をいただきたいと思います。
私自身は、先ほども述べましたが、この女性差別撤廃条約の選択議定書の批准は、人権尊重の上では閉ざすことができない重要なものだと考えておりますので、本陳情と次の議案に賛成の立場で討論をさせていただきました。
(4 番 深田貴美子君 登壇)(拍手)