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令和6年第1回定例会

3月12日(火曜日)

令和6年第1回定例会
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三島杉子
三島杉子
日本共産党武蔵野市議団現職

映像ID: 2681

12447◯20番(三島杉子君)  日本共産党武蔵野市議団を代表いたしまして、陳受6第2号 子どもを性犯罪、性暴力の加害者、被害者、傍観者にさせないために市内教育機関において「生命の安全教育」及び発達の段階や子どもの実態に応じた包括的性教育を充実させることに関する陳情について、私たちは、包括的性教育の推進はしてほしいと考えております。そこは大いに賛同いたしますが、1、2の記書きにあります、市内教育機関において教育内容に関わる指導を一層充実させるということを、陳情採択という形とはいえ、議会で議決することは、教育の独立性、学校の自主性を尊重する立場から、適切ではないと考えます。したがって、委員長報告に賛成できない、陳情の採択に賛成できないということで討論をいたします。
 性暴力は深刻な人権侵害です。性暴力をなくすためには、日本社会全体で遅れている人権教育としての性教育を、大人も子どもも含めてこれを進めていき、何が人権侵害に当たるのか、その理解を進め、お互いの人権を守り、認め合うことの大切さを、社会の常識にしていくことが大切です。人権との関わりが明確になる、そのことが重要であり、生命の安全教育を包括的性教育の立場を取り入れたものとして進めていくべきだと思います。
 包括的性教育とは──先ほどありましたがまた言います──性は人権、ジェンダー平等の立場で、互いの性を尊重する人間関係を築くことを目指すものです。具体的な内容は、2009年にユネスコが中心になってまとめ、2018年に改訂された国際セクシュアリティ教育ガイダンスに示されています。人間関係。価値観、人権、文化、セクシュアリティ。ジェンダーの理解。暴力と安全確保。健康と幸福のためのスキル。人間の体と発達。セクシュアリティと性的行動。性と生殖に関する健康。8つの柱があり、年齢層に区分して学習内容が掲げられています。学び手の成長や発達に沿って創意工夫しながら取り組み、子どもの自己肯定感や探求心を育むことを目指しています。
 日本の性教育は、明治期の家父長制を美化する勢力などから、行き過ぎ、過激などとする攻撃に、絶えずさらされてきました。しかし攻撃の標的にされた都立七尾養護学校事件では、2013年の最高裁決定で、都議らの介入を違法とする判断が確定しました。自らの人権と健康を守る上で、体と性を学ぶ性教育の推進は人権課題であり、子どもの権利を保障するための土台です。
 今、いじめや性暴力、痴漢、セクハラ、DV、性差別など、子ども、若者を取り巻く性に関わる問題は、複雑化、深刻化しています。ところが子どもたちは、公教育で性や生殖について、科学的な知識や性に関わる人権意識を形成する機会がまだ少ないままに、インターネットなどで、正しいのかどうか分からないような情報を独自に探っている、そういう状況があります。性と人権に関する教育が学校の中で、より充実していくことが求められます。
 科学的に正確であり、かつ人権やジェンダー平等を基盤とした性に関する知識やスキル、態度や価値観を年齢や成長に即して、学校の中で当たり前に学習していく中で、子どもたちは興味、疑問、不安、悩みなどに向き合い、考え合い、他者の考えも知り、お互いの性を含めての人間というものを大切にする思いが育まれていくのではないでしょうか。
 性に関することは、インターネットなどで、正しいのか間違えているのかも分からない情報を独自に探らないといけないものではなく、保護者や友達とは恥ずかしくて話題にできないものではなく、学校で学び合うものであること、真剣に向き合って他者と語ってもいいものなのだとすることは、不安や悩みや被害の問題についても、人に相談していいと考えられるようになり、個別の相談しやすさにもつながります。
 それは、性暴力、加害、被害の防止を早期に止めることにもつながります。性被害を性被害と認識できなければ、被害を訴えることもできません。つらいことですが、身近なところでの性被害は、学んでいないことで、本人が被害を認識できないまま継続されてしまうこともあるのです。人間としての尊厳が傷つけられていることであると認識できないうちに、深刻な事態に陥ってしまうこともあります。人間関係の知識がない中で、自分のせいだと被害を閉じ込めてしまう場合もあります。
 自分自身が自分の体の主人公だという体の権利、こういう認識を学ぶということ、性器を含む自分の体に関する知識そのものをしっかりと教え、学んでいく。人間関係に関して学び、考え合うこと、性行動の意味、こういったことをしっかりと包括的性教育として学び合う中で、自分や相手を傷つける行為の認識、性被害・加害を認識して、自分にも他者にもしてはいけない、加害者になることを防ぎ、抑止力もそれは生み出します。包括的性教育推進法の制定を目指すネットワークが、性教育の実践家、研究者、市民によって昨年結成されたことは、大きな希望だと考えています。
 日本共産党は、性暴力をなくし、互いの性を尊重する人間関係を築くため、科学的な包括的性教育が日本社会に根づくよう、力を尽くしています。ですので、陳情を出された意義は本当に痛感しております。陳情の思いには大いに共感いたします。包括的性教育が学校教育の中でも進んでいくことを求め、願っております。
 しかし、市内教育機関において教育内容に関わる指導を一層充実させるということを、陳情採択という形とはいえ議会で議決すること、やはり教育内容として、これをやるようにと政治の立場から明確に決定してしまうことは、適切ではないと考えます。教育の独立性、学校の自主性を尊重する立場から、包括的性教育を進めてはもらいたいと考えておりますが、陳情採択に賛成することはできないと述べて、討論を終わります。
             (3 番 大野あつ子君 登壇)(拍手)