13513◯20番(三島杉子君) 陳受6第9号 「当面の間、現行の健康保険証とマイナ保険証の両立を求める意見書」を政府に送付することを求める陳情につきまして、委員長報告に賛成、陳情に賛成の立場で討論いたします。
この陳情は、マイナンバーカード保険証の廃止を求めるものではなく、現行の健康保険証を当面の間、廃止せず、マイナ保険証と両立することを国に求めてほしいということであると厚生委員会で確認されていたことを初めに押さえさせていただきます。
厚生委員会で、武蔵野市でのマイナ保険証の利用状況が確認されました。国民健康保険の場合、6月時点で被保険者の約46%の1万2,054人がマイナ保険証に登録、利用率はそのうちの9.78%でした。約2万6,200人いる被保険者のうち、マイナ保険証を利用している人は約1,180人、被保険者数から見た利用率は約4.5%という計算になります。9割5分以上の方が現行の保険証を使い続けているという現状です。身近でも、カードリーダーの扱いに時間がかかり、窓口の方に負担をかけ、後ろの人に迷惑をかけたから二度と使わない、また、紙の保険証でもいいですよと言われ助かったなどのお声を伺います。また、カードリーダーを導入したので今までよりも予約時間よりも早めに来るように、時間がかかってしまうので早めに来てくださいというふうに窓口で書いてあるのを見て、そうやっていますみたいなお声も伺います。現行の保険証を窓口で渡すほうが手間なく使いやすい、そういうお声も伺います。
保険医協会が行った子育て世代へのウェブアンケートでは、2,242件の97.3%が子どもの受診時には現行の保険証を使っており、86.3%が現行の保険証廃止は困ると回答しています。パスワードや顔認証ができない、緊急時に保険診療が受けられないのは問題、子どもが入院経験のある保護者として廃止は反対の声や、具合の悪い子を抱えて、マイナ保険証をセット、顔認証かパスワードを選んだり、同意のボタンを何度か押す必要があったり、またマイナンバーを隠すケースを外したり、本当に大変だったというリアルな回答もありました。
東京新聞など18の地方紙が8月に行ったアンケートでも、現行の保険証をなくしてマイナ保険証に一本化の声は2割、現行の保険証の存続を求めた声が8割でした。厚生労働省が8月30日に発表したマイナ保険証への移行に伴うパブリックコメントでも、寄せられた5万3,028件の大多数が保険証の存続を求める意見や、マイナ保険証への一体化に反対、懸念を示す意見であったということです。
厚生委員会で確認された短期被保険者証廃止の問題もあります。短期被保険者証を発行することで、窓口で10割払うことなく医療を受けられるようにしながら分納相談を進められました。必ず窓口に来ていただき、納税相談、支払い計画を立てた上で発行していたので、一定の効果があったとの答弁がありました。払えなくて滞納の方が、短期被保険者証の廃止で分納相談の機会が遅れ、または機会を失い、特別療養費制度の資格確認書で窓口10割負担となれば、医療を受ける権利は現在より後退します。
医療機関ではどうでしょうか。陳情資料では、国分寺市内の調査で回答した医療機関の9割が、現状の健康保険証の廃止を延期し、存続すべきと答えていました。救急や状態の悪い患者さんの診療手続が著しく困難。医療情報の反映に1か月以上時間がかかり、ずれが生じるので、結局はお薬手帳などの確認をしているという意見。使用の理解が伴わない方への対応や、カードリーダーの不具合の対応に苦労している現場の状況も伝わってきました。千葉県保険医協会のアンケートでも、646医療機関中、保険証を残すべき81.5%、保険証廃止を延期すべき11.9%、合わせて93.5%という結果でした。
開業医の63%、勤務医約2万人が加入する会員数10万7,000人以上の全国保険医団体連合会会長が、厚生労働省のパブリックコメントの結果を受け、9日、談話を発表しました。日本の公的医療保険制度は、券面に資格情報が記載された健康保険証が全ての被保険者に漏れや遅滞なく交付されることで、医療機関窓口でのスムーズな資格確認を可能にし、全ての国民に医療へのアクセスを保障してきた。全ての国民に遅れや遅滞なく被保険者証を交付することは、国、保険者の責務である。医療現場ではマイナ保険証をめぐる様々なトラブルが、12月2日まで3か月を切った現在でも続いており、一旦10割負担となるケースや、受診を諦めるケースまで起きている。マイナ保険証のみでは国民の医療へのアクセスを保障することはできないとの主張でした。
オンライン資格確認のトラブルなどの理由でマイナ保険証を使えない医療機関がある状況下で、厚生労働省は、利用実績が低い医療機関に対して、保険医療機関の指定や保険医の登録が取り消される重い処分もあり得る、療養担当規則違反となるおそれがあると説明をしました。医療サイトのアンケートでは、開業医の9割、勤務医の8割近くが納得いかないと答える状況も生まれています。全国の保険医療機関の廃止数は、昨年3月には1,103件、今年秋までに閉院、廃院するとの理由でシステムの導入猶予を届けている医療機関は、保険医団体連合会の推計で約1,000件に上ります。過疎地域を中心に、全国で医師らの高齢化が進んでいる状況下で、オンラインシステムにかかる多額の費用や情報漏えいリスクなどを警戒し、閉院に至る事例も少なくないということです。医療機関が減り、ますます医療状況が厳しくなってしまうのではないでしょうか。
自民党の総裁選でも、国民のそういう様々な声を受けて、保険証廃止時期の延期や見直しを主張する候補者がいて議論になっているということなのではないでしょうか。現状では多くの課題がまだクリアしていない中で、国民からも、医療機関からも、現行の保険証存続、廃止の延期を望む声が圧倒的に多いです。新たにつくるのではなく、今のまま残すというのは、やりやすいことでは、まだできることではないでしょうか。現行の健康保険証を当面の間廃止せず存続し、マイナ保険証との両立を国に求めてほしいとのこの陳情に改めて賛成を述べまして、討論を終わります。
(22番 山本ひとみ君 登壇)(拍手)