13562◯9 番(小林まさよし君) 会派に属さない議員の小林まさよしです。令和5年度決算全ての会計の認定について賛成の立場で討論いたします。
令和5年度を象徴する出来事、3つあったと考えています。その一つは、任期2年を残して松下市長が突然辞任され、急遽市長選挙となり、昨年12月24日、小美濃市長が市長として就任したことです。
もう一つは、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が季節性インフルエンザと同じ5類に引き下げられ、コロナ禍前の日常が戻りつつあるということです。コロナ禍という混乱のさなかにおいて武蔵野市を支えてくださった方々に、この場を借りて感謝と敬意を表したいと思います。
もう一つは、円安が進行し、物価高騰の波がとどまることがないという大きな変化があったということです。デフレからインフレへの大きな変化によって、行財政運営に大きな影響を受けることが確認されています。特に武蔵野市では、第六期長期計画・調整計画で想定していた公共施設の再整備にかかる費用は30年間で3,600億円とされていましたが、その額より多額の税金が必要だと推察されます。そのほか、市政運営にかかるランニングコストも、物価高騰の影響を受けることから、財政的な負担が大きく増加する見込みです。デフレ下にあったこれまでと同じ行財政運営では、将来に負担が残る状況を生み出すということを私たちは強く懸念、危機意識を持って今後市政運営に携わっていく必要があると考えます。武蔵野市の持続可能性、そしてさらなる発展のためには、無駄をなくし、税金の使い方が最適化されるように、行財政改革を大きく進めていかなければなりません。
以上が令和5年度の象徴的な出来事でありますが、次に、令和5年度決算について、2つの評価したい点と、2つの改善を求める点について言及したいと思います。
評価したい点の1つ目は、令和5年度決算等審査意見書において、監査委員の方々が積極的に踏み込んで問題を指摘してくださったことです。具体的には、契約に関する不備、内部統制の問題、学習者用コンピューターの備品台帳への登録漏れなどです。また、事務事業の見直しなどによる行財政改革の進展も求められています。問題を問題としてしっかりと指摘し、決算特別委員会で議論されたことは有益だったものとして高く評価します。より健全で適正な市政運営を行っていただくため、専門的な見地から、今後も市政運営の在り方について、強い問題意識を持って御対応いただきたいと思います。
なお、監査委員について決算特別委員会でも議論されていましたが、ある市民の方から、公認会計士の資格を持つような専門家を3人目の監査委員として置くのはどうかという声をいただきました。確かに、武蔵野市監査委員に関する条例の第2条では、定員を2名と定めていますが、職員経験のある代表監査委員、議会選出監査委員という2名に限定することなく、3人目として、会計監査の専門家という立場から監査を行っていただくということも有益だというように考えられます。市民の方からは、コストがかかるとしても有益な税金の使われ方ではないかという意見もありました。検討が必要だと私は考えております。
2つ目の評価したい点は、市の財政状況に対して懸念を示す執行部の答弁があったことと、将来を見据えて令和4年度末対比で基金が60億円以上積み増されたということです。私は、第六期長期計画・調整計画の30年間に及ぶ長期財政シミュレーションで織り込まれていないコスト、税収減は合計1,000億円以上あるというように試算しています。これらについては、これまで一般質問等で言及しているので詳細は省きますが、具体的に例を挙げると、物価高騰に伴う公共施設等再整備費用、吉祥寺駅南口再整備、都営水道との統合など、大規模事業に係る費用、加えて、将来人口推計が市の想定のように右肩上がりにいかないことによる税収減などです。
ちなみに、人口について9月1日の実績で見ると、外国人人口は増加傾向にあり、4,000人を超えている状況にありますが、日本人人口は2021年9月1日──3年前です──これが14万5,151人ということでしたが、これをピークに3年連続で減少しています。今年9月1日の日本人人口は14万4,279人となっていて、3年前より1,000人近く減少しています。武蔵野市の将来人口推計における令和7年1月1日の日本人人口は、令和6年9月1日現在よりも2,380人多い14万6,659人となるとしています。現時点での乖離率は1.6%です。人口が右肩上がりに増加するという市の見通しと現状は大きく異なっていることが確認されています。このまま、デフレ下にあった邑上市政、松下市政と同じ行財政運営を行っていったら、将来財政的な問題が大きく顕在することになると私は予想しています。
基金の積み増しや財政的懸念に言及したことは評価します。しかし、これからもより一層強い危機感を持って、将来を見据えた行財政を行っていただくことも要望させていただきたいと思います。
なお、武蔵野市の令和6年度経常収支比率は79.5%、良好な水準と言えますが、注意しなければならないのは、この経常収支比率には投資的経費が含まれていないということです。武蔵野市は、近隣自治体よりも多くの公共施設を有しており、こういった負担が経常収支比率では見えない状態となっております。令和5年度の投資的経費は56.5億円程度でありますが、令和6年度の予算の投資的経費は124億円となっており、倍増するという見通しです。また、今後、毎年100億円から150億円程度の投資的経費が計上されるということになると予想されます。執行部にしても、監視機能としての議会にしても、武蔵野市の投資的経費の動向をしっかり踏まえた上で、財務状況を評価していかなければならないと考えます。経常収支比率に、投資的経費を分母・分子にそれぞれ含めた修正経常収支比率のようなものも算出して評価していくことも必要だというふうに考える次第です。
改善を求める点の1つ目は、武蔵野市において事務事業数を把握していないということ。早急な把握を求めます。以前私が所属した会派から決算特別委員会等で各自治体の事務事業数の報告を求めたことがありますが、その際、市の説明は、自治体によって事務事業数の基準が違うから出せないというものではありましたが、武蔵野市で事務事業数を把握していないという説明はありませんでした。なぜその時点で事務事業数を把握しようとしなかったのでしょうか。今後も事務事業数を把握しないのでしょうか。このような疑問を持たざるを得ません。
私は市民の方に、事務事業数が分からない現状において、残念ですが、市が無駄なく事務事業を見直してきたというような説明をすることはできません。市民の皆様も、このような説明で到底納得するものではないというように考えられます。私は、このような状況を改善するためには、やはり平成18年にあったように、有識者、市民などの外部委員さんによる行財政改革委員会を設置する必要があるものだと強く考えています。このことについては、9月5日に一般質問しましたが、市の答弁は、第七次行政改革を進めるための基本方針を策定中ということでした。その場で私は、この第七次基本方針で織り込まれるように御検討いただけるのかと思ったのですが、一般質問の後、確認したのですが、答弁では、その次に検討するものであり、第七次はほぼ出来上がっていて、第七次をもって外部人材による委員会の設置の方針を打ち出すのは難しいというようなことでした。その次とは、令和11年頃に公表される可能性のある第八次の行財政改革に関する基本方針ということだと思われますが、そこで打ち出すかどうか検討するということになります。それでは遅過ぎないでしょうか。前述したとおり、現在、六長調の長期財政シミュレーションで、市の財政に1,000億円以上のコスト増や税収減の影響が織り込まれていないと私は推察しています。今後の武蔵野市民にとって最善の利益をもたらす行財政運営を行うために、小美濃市長には、事務事業の早急な把握と、現在策定中の第七次の行財政改革を進めるための基本方針において、有識者、市民などによる外部人材で構成された委員会を設置する方針を打ち出していただき、実際に一日も早く、スピード感を持って委員会を設置、事務事業数の把握と行財政改革を進めることを求めたいと思います。
改善を求める点の2つ目は、情報開示・共有の問題についてであります。積極的な情報開示・共有を求めるものでありますが、問題となったのは、保育園児の置き去りについてです。発生したときに市長が不在であったことや、個人情報に配慮したという結果なのかもしれませんが、決算特別委員会では、議会、議員への報告が十分行われなかったことについて問題だという指摘がありました。私も同様に考えます。
私が証券アナリストという企業分析をする仕事をしていた際、多くの企業の方と話をすることがありましたが、会社によって社風、風土が違っておりますが、それらが業績に大きな影響を与えるというような考えを持っておりました。その特徴の一つとして挙げられるのは、風通しがよければよいほど、そういった会社の業績はよいということです。小美濃市長には、武蔵野市役所において、風通しよく、積極的に情報を開示・共有するような風土を根づかせていただきたいというようにお願いしたいと思います。
次に、個別の事業について、3つに絞って要望したいことをお伝えしたいと思います。
1つ目は、令和5年度において、吉祥寺クックロード自転車駐車場が建設されました。しかしながら、この駐輪場の建設事業の過程においては、旧吉祥寺大通り東自転車駐車場の売却を含めて、公共性、情報開示・共有、契約手続の在り方など、問題があったと認識しています。
まず公共性についてですが、駅近くの駐輪場を売却して駅外周部に駐輪場を設置するということは、自転車法にある利用者の利便性の増進を求めるという定めに反するものだと考えます。ウォーカブルでにぎわいをといいますが、駅利用者の利便性についてはどこまで配慮されたのでしょうか。ありきの議論を進めるのではなく、様々な観点から公益性について議論した上で事業運営の方針を決定することを要望したいと思います。
また、先日、一般質問で、武蔵野プレイスのギャラリー利用で公益性に欠けるのではないかというような指摘もさせていただきました。このような営業目的と疑われるような利用がないよう、公共性、公益性を意識した運営を改めてお願いしたいと思います。
情報開示・共有については前述したとおりでもありますが、議会への報告も十分でなく、矮小化された報告であったとも認識しております。市民説明会でも、説明会当日は売却は協議中といいながら、翌日に売却するということもありました。議会、市民への情報開示・共有を大前提とした市政運営をお願いしたいと思います。
契約の在り方についてです。民間企業に随意契約で売却されました。この民間企業は駐輪場を購入しただけで、そもそも所有した部分の土地の部分が評価が2倍となるおいしい取引でありました。この会社の現在の株価は、市の駐輪場の売却直後の10倍近くとなっています。ある市民の方は、投資家のもうけのために武蔵野市の財産が使われてしまったというように嘆いているところです。現在行われている住民訴訟では、随意契約の要請が争われているということです。裁判所の判断は分かりませんが、このように要請が疑われるような強引な契約、取引が行われないように、そして、契約の在り方について、これまでベンダーロックインとか、そのほかもあります。全般的に問題なく行われるように改善を求めることを強く要望します。
2つ目の個別の事業については、指定管理者についてです。決算特別委員会でも議論されておりましたが、武蔵野スイングホール、武蔵野芸能劇場、かたらいの道市民スペースの管理が、これまでは市の外郭団体である武蔵野市文化生涯学習事業団が行っておりましたが、来年度から、ある株式会社が管理運営することになるとなっております。これによって、市は特色あるサービスといっておりますが、サービスが向上するということだと認識しています。このようになるというふうに説明しておりますが、そのほかでは、コストが大きく減るわけではなく、人員が減少することでもないということも明らかになっています。そこでまた、施設予約システムがこれまでと異なることになり、新しく構築される、コストがかかるだけでなく、市民に対するサービスが悪くなるということにもなり得ます。市の説明からは、先ほど申し上げたように、サービスの向上ということですが、相当なサービスの向上がなければ全く意味のない指定管理者の変更になるのではないかと考えてしまいます。その相当なサービスの向上に強く期待いたしますが、そうでない場合は、5年後に指定管理先を変更しなければならなくなってしまいます。今後、私もこの点をしっかり監視していきたいと考えますが、市側にも、誰が見てもサービスの向上を感じるように指導、管理していただきたいと思います。
また、武蔵野市文化生涯学習事業団におきましては、ただ3つの施設管理の仕事が減ったという変化のみにならないようにしていただきたいと思います。指定管理者の変更が市民の最善の利益をもたらす行財政運営になることを強く要望したいと思います。
3つ目は、オンライン授業についてです。不登校の状態にある中学生から相談を受けたことがあります。様々問題はあるのですが、その生徒が懸念している問題の一つが、授業を受けられず、勉強したいけど勉強できない環境となっていて、将来の進学などへの不安を感じるということでもありました。その生徒からは、オンラインで授業を受けられたらというような要望があったわけですが、日の出町にある学校では、ウェブカメラを教室に設置することによって常に授業が配信される仕組みが出来上がっているということです。これについて、大きなコストがかかるようなものではないというようにも聞いております。ぜひ他の自治体の状況を検討した上で、不登校の子どもたちが勉強したいときに勉強できるような環境の整備として、オンライン授業の積極的な導入をお願いしたいと思います。オンライン授業の実施は、市長の公約の一つであったとも認識しております。オンライン授業の実施に時間がかかるということであるならば、講義を動画で見せるようなアプリが存在します。タブレットの更新に合わせて、このようなアプリの導入をお願いしたいと思います。
以上のように、令和5年度決算において、2つの評価する点、2つの改善を求める点、そして3つの個別の事業において要望する点について御対応をお願いしたいというように思います。
また、今回決算特別委員会において、小美濃市長に対して改革を求める声が複数確認されております。私も賛同するところです。市長が改革を断行することについて、私も強く期待することをお伝えして、賛成の討論とさせていただきます。
最後になりますが、市政運営に当たり、市民福祉の向上のために様々御尽力いただきました市職員の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。
(20番 三島杉子君 登壇)(拍手)