13563◯20番(三島杉子君) 日本共産党武蔵野市議団を代表いたしまして、2023年度の一般会計、3特別会計、水道事業会計、下水道事業会計の決算の認定に賛成する立場から討論をいたします。
決算審査を通じて、武蔵野市の財政力の高さが改めて確認されました。2023年度決算における一般会計の実質収支額、つまり黒字額は31億3,538万3,000円となりました。2022年度の実質収支額に比べて8億4,033万5,000円の減、21.1%の減でした。不用額は25億3,916万5,000円で、2022年度に比べて7億1,557万8,000円、22.0%の減です。前年度より減少できたとはいえ、まだ多額の実質収支額、不用額があり、前年度から引き続き1,000万円を超える不用額が発生した費目は、昨年度を上回る30件とのことでした。その費用をほかの施策に使うことができたのではないか。例えば常設型の家庭と子どもの支援員を未配置の学校に配置や、学校、保育園、公共施設へのPFAS除去の浄水器の設置など、市民のための施策を実現し、さらに市民福祉の増進を図ることができたのではないかとも思います。
監査委員の審査意見書では、最終補正予算時における執行見込みをさらに適正に行い、限られた財源を有効に活用するよう努められたいとの指摘がされています。努力されていることは分かりますけれども、来年度以降のさらに適切な予算執行を求めます。
基金現在高は、2023年度末で606億1,018万5,000円、前年度末より60億6,344万3,000円増となりました。市民1人当たりの金額は、多摩26市中、断トツのトップです。単年度の財政力指数は1.589で、前年度より0.072ポイント上昇し、全国的にもトップレベルです。この財政力を適切に生かし、市民生活を支える施策をさらに進めていくことを求めます。
2023年度の予算は、「誰もが安心して暮らし続けられるまちへ 平和が続く未来をつくる予算」として、新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等による原油価格・物価高騰により新たに生じた課題にも対応することを基本に編成された予算でした。2023年5月に新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけが5類となりましたが、様々な感染症がはやる中、市民の活動が少しずつ再開するも、急激な物価高騰が市民生活を直撃しました。その中で、補正予算も組まれ、リフトつきタクシー運行事業の補助金や水道事業会計の物価高騰対応の臨時補助金、商店会活性出店支援金事業、給食食材費高騰対応臨時補助金、物価高騰に伴う介護・障害福祉サービス事業所等への補助など、市民の暮らしを支える様々な取組が行われてきたことを評価し、感謝いたします。
全体として財政的にはコロナ前の状況にかなり戻ってきていると言えるが、例えば産業等に与える影響もまだらで、しっかり回復しているところもあれば、そうでないところもある。基礎自治体はそういう差を見ていく必要があると御答弁がありました。地方公共団体の存在意義は、公共サービスの提供を通じて地域住民の福祉の増進を図ること、セーフティネットの役割を果たすことにあります。
2023年度補正予算が組まれ行われた、物価高騰に伴う介護・障害福祉サービス事業所等への市独自の補助事業について、非常に経営の安定化につながったとの声を多数いただいているとの御答弁がありました。一方、今年度の訪問介護の報酬改定により、訪問介護の中小の事業所から経営に影響が出ているとの意見、また、訪問介護でない事業所についても、報酬改定が物価高騰に追いついていない旨の認識を伺いました。厚生労働省に意見具申をしていくとの御答弁でした。頑張っていただきたいと思います。
とともに、今年度は2023年度にあったような市独自の具体的な支援がありません。東京都が保育所、特別養護老人ホーム、障害者支援施設、医療機関等への物価高騰緊急対策事業、介護サービス事業所や運輸事業者向けに燃料費高騰緊急対策事業等の補正予算案を提案しています。市でも補正予算も含め、物価高騰、訪問介護報酬引下げなどへの対応の具体的な支援の施策を早急に進めていくことを求めます。
武蔵野市子どもの権利条例が施行され、各施策に子どもの声をどう聴いて反映させていこうかとの取組が、子ども家庭部、教育部だけではなく、全庁的に広がり、また、地域、学校と様々な場面での周知啓発で、市全体で子どもの権利への意識が向上していった1年となっていったとの御答弁、うれしく受け止めました。
子どもの権利擁護センターもいよいよ明日開設となります。内覧会では、開設記念イベントに多くのお子さん、保護者が参加されたとのお話を伺い、市民の期待を強く感じました。これからの事業ではありますが、外へ出ていっての子どもの権利の周知啓発活動、センター内外での相談活動等をこれから進めていく中で、検証もしながら、必要な人員の確保など、条例の具体化をさらに進めていくこと、次の予算への反映も求めます。
教育分野では、教育の質の向上と教員の働き方改革の推進の取組として、市講師の配置、学習支援教室の実施や、学習指導補助員の配置が進められています。不登校対策と教育相談の総合的推進の取組で、教室に入りづらい児童生徒の居場所づくりともなる常設型家庭と子どもの支援員について、2023年度8校まで配置を拡充し、今年度も既に13校まで配置拡充できていることが確認できました。中学校での巡回教員をハブにして、いい事例を共有でき、成果が出ていること。小学校でも学期に1回の支援員の方の情報共有の場をつくっていきたいと、子どもたちにとって制度がよりよいものになっていく具体的な取組が進んでいること。また、常駐型家庭と子どもの支援員だけの成果ということではないと思うが、不登校のお子さんの増え幅が減っているという御答弁もいただきました。2024年度、スクールソーシャルワーカーをチーフスクールソーシャルワーカーとして1名増員、教育相談員も1名増員と進めていただいています。常駐型家庭と子どもの支援員は、教育委員会としても全校配置の努力をしたいとの頼もしい御答弁もありました。常駐型家庭と子どもの支援員の全校配置をはじめ、さらなる教育条件の整備を求めるとともに、物理的な条件整備、子ども議会でも提案がありました空調設備の設置を速度を上げて進めていかれることも求めます。
2022年度に取り組まれた武蔵野市気候市民会議での意見を参考に、2023年度は、「気候危機打開!むさしの市民エコアクション」の冊子作成と全戸配布、むさしのエコの実大賞事業、家庭向け再エネ電気切替え協力金支給事業、公共施設の実質再エネ100%電力の導入と、新たな事業も取り組まれました。
流域治水、水循環の推進となる雨水浸透施設等助成事業では、一軒一軒訪問しての普及の御苦労を伺いました。今年度は申請件数が伸びている事業もあるとの御答弁がありました。SNS、イベント等、様々な広報活動を引き続き広げていただき、市民の意識の醸成、事業の浸透で気候危機打開の取組をさらに進めていくことを期待します。
武蔵野市平和施策のあり方懇談会の報告書作成、「武蔵野から伝える戦争体験記録集」第4集、平和啓発用映像の作成もされました。報告書の内容を生かした取組として、今年度、戦争遺物を五感で感じる、触れる展示に取り組み、お子さんが、こんな重いのが飛んでくるのだねと、戦争を我が事として捉える一つのきっかけになっていた様子も御答弁ありました。市長からは、戦争は一度起きてしまうと泥沼化してしまう、できるだけ外交努力を行い、戦争を起こさないようにするのがいいとの認識も伺いました。1月には本市で平和首長会議国内加盟都市会議総会が開かれます。国を守るのではなく、守るべきものは、私たち一人一人の命、尊厳ある日々の暮らしです。長崎への青少年平和交流派遣団のような事業を節目にやるというだけではなく、中高生世代が参加できるイベントとして継続的に行って、次に平和を伝えていただける若者を育成していきたいとの御答弁もありました。今まで積み重ねてきた武蔵野市の平和憲法啓発事業の継続、発展に加え、報告書の内容を生かした新たな施策の展開、具体的な取組を期待します。
国民健康保険税の支払いができない方への対応、滞納整理について、差し押さえて取り立てる、必ず払ってもらうということを大前提としているわけではない。資力をしっかり調査し、生活再建の窓口の御案内、分納の御相談などしているとの御答弁でした。引き続き丁寧な対応を求めます。
国保税の負担が重くなっている最大の責任は国にあります。高過ぎる国保税の構造的問題を解決するためには、さらなる公費の拡充が必要です。全国知事会も、被保険者の保険料負担の増加が見込まれる状況を踏まえ、財政基盤強化のための新たな財政支援を行うことを要望していますが、市としても、国の責任と財政支援を要望していただくよう求めます。国の財政責任がどんどん後退している下では、市としてできることは行うべきです。市の財政力を生かして国保税を引き上げないことなど、引き続き市の努力を求めます。
最後に、今委員会で大きな論点となった会計年度任用職員、再任用職員のことを言います。ともに期末勤勉手当等の処遇改善について庁内検討委員会を立ち上げて検討していくとの御答弁、ありがとうございます。人事課で伺った際に、会計年度任用職員は正規職員と考えている、非常勤と常勤との違いとのことでした。であるならなおさら、市政の業務に、市民サービスの向上に大きな役割を担っている会計年度任用職員、再任用職員の方ともに、期末勤勉手当の常勤職員と同じ月数での支給等の処遇改善について、できるだけ早く実現されることを求めます。
市民が1万人以上増えたという武蔵野市、市民生活を支えていく市の正規常勤職員の適正な人数を増やす方向で考える。実践、経験の中での勘どころをつかんでいく仕事の承継、もう公務員を減らしてダイエットの時代ではないなど、複数の委員より発言がありました。会計年度任用職員を勤務時間の実態など鑑みて、正規常勤職員に振り替えていくことも含めて、振り替えるというか、採用ということになるかもしれませんが、人数としてしっかりしていくことも含めて、第9次の職員適正化計画で検討していくとの御答弁がありました。
育児休業をほとんどの男性職員が取るようになったことが分かりました。次の段階である、必要な日数、取りたい日数育児休業を取れる働きやすい職場環境を整えていくために、必要な職員数を考えていくことは重要です。継続的に必要な仕事をする職員は正規職員とし、実務の中で知見、勘どころを承継していける職員の体制を維持発展させ、より質の高い、幅広い市民サービスを進めていくためにも、正規常勤職員を増やしていくことを求めます。
以上、2023年度の決算の認定に賛成の立場からの討論といたします。
(12番 菅 源太郎君 登壇)(拍手)