13873◯市 長(小美濃安弘君) 橋本しげき議員の一般質問にお答えをいたします。
1点目の災害時の避難所の在り方についてでございます。
1点目の1、避難所避難者の受入れ体制についての御質問であります。先ほどの御質問でもありましたが、全20か所の学校避難所で2万人以上の受入れが可能であるというふうに考えております。
2点目の避難所避難者1人当たりの面積については、先ほども御案内いただきましたが、都の地域防災計画を基に、2人当たり3.3平米を想定しております。
3点目です。避難所以外の避難施設についての御質問ですが、本市では災害発生時、必ずしも避難所に避難するのではなく、自宅が安全であれば自宅での生活を継続する在宅避難の重要性について啓発をしております。その上で、市では全20か所の学校避難所の想定避難者数約2万人以上の避難者を収容できる想定となっております。なお、避難所生活が長期にわたるなど、被害状況に応じて都と連携しながら、市営住宅や都営住宅などの公的住宅の活用、民間賃貸住宅の借り上げ、仮設住宅の建設等により対応する想定となっております。
次に、2点目の避難所の生活環境についてでございます。
1点目、避難所の寝具等についての御質問です。避難所避難者に提供する毛布及びマットの備蓄を計画的に行っています。段ボールベッド等の提供を行っている事業者と、災害時における段ボール製品等の調達に関する協定を締結しております。災害時には協定締結業者と連携し、速やかに寝具等の確保に努めていきたいと考えております。
次に、避難所のプライバシーの確保についての御質問であります。各避難所にはパーティションを各20張りずつ備蓄しております。また、事業者と災害時におけるパーティション等の調達に関する協定を締結しております。災害時には、備蓄しているパーティションに加え、協定締結事業者と協力して、プライバシーを確保できる環境の整備に努めてまいりたいと考えております。
3点目です。女性の視点を生かした避難所環境の整備の質問についてです。武蔵野市避難所運営の手引きに基づき、女性特有の用品の確保、異性の目が気にならない環境、性被害などの犯罪を防ぐ安全な環境などに配慮を行うことが重要だと考えております。また、掲示用として、女性・子どもの被害防止のための普及啓発チラシを活用いたします。引き続き、女性の視点を生かした避難所環境の整備に努めてまいります。
次は、避難所での食事についてです。1点目と2点目は関連があるため、まとめて御答弁をさせていただきます。
避難所避難者を含む避難者約3万2,000人に対して、どの程度の分量の食料が備蓄されているのかという御質問でありますが、3日分の食料を備蓄しております。また、避難所避難者に提供する食事の内容については、バランスのよい食事や、栄養のある食事の提供が重要であると認識しております。発災直後から3日間は、迅速な物資提供により、必要最低限のエネルギーを摂取する必要があるため、市では高齢者や乳幼児、アレルギーをお持ちの方など、あらゆる避難者へ提供できるよう、アルファ米、ライスクッキー、おかゆなど、複数の主食の備蓄に努めております。4日目以降の復旧対応期には、支援物資などによる食料調達に努め、炊き出しなどによる適温の食事や、栄養バランスを考慮したものを提供できるよう努めてまいります。市では、被災者の生命や身体の保護と災害応急対応の実行性の確保の観点から必要な備蓄を行っておりますが、バランスのよい食事や栄養のある食事については、引き続き研究してまいります。
4点目、避難所トイレについての御質問であります。本市では、災害発生時、必ずしも避難所に避難するのではなく、自宅が安全であれば自宅での生活を継続する在宅避難の重要性について啓発を行っております。その上で、避難所のトイレについては、武蔵野市想定避難者数3万2,000人が3日分排せつを行えるよう、下水道直結型トイレ及び携帯トイレにて必要数を確保する想定でございます。また、携帯トイレにつきましては、現在、備蓄を進めているところでございます。
2点目です。避難所トイレの安全管理や衛生管理についての御質問です。災害時は、避難所運営組織、初動要員、学校関係者及び避難者と協力し、犯罪防止のため、トイレまでの動線に留意しながら、状況に応じて巡回を実施するとともに、定期的な清掃などにより衛生環境の保持に努める想定でございます。よりよい避難所の安全管理及び衛生管理につきましては、関係団体と情報共有を図りながら、引き続き検討してまいります。
次に、5点目です。福祉避難所の対象となる災害時要援護者の定義についての御質問です。武蔵野市地域防災計画に記載のある災害時要援護者については、高齢者、障害者──これは児童も含めます──乳幼児、妊婦、通学の小・中学生、外国人など、災害時に一定の配慮を要すると考えられる市民である要配慮者のことを指すと認識をしております。
次に、要配慮者のトリアージと福祉避難時の受入れ体制についての御質問です。総合防災訓練で要配慮者トリアージの訓練を実施しておりまして、その流れや方法などの確認を行っているところであります。トリアージにおいては振り分けの判断が重要になるため、より効果的な仕組み、手法を、引き続き研究してまいりたいと考えています。福祉避難所の開設訓練については、本年度の総合防災訓練においても実施したところでありますが、そこで得られた経験、知見などを他の福祉避難所の指定施設とも共有しながら、災害発生時に自宅でのケアが困難な高齢者などを、そのときの状況を踏まえながら受け入れるための準備、体制づくりを各施設と連携しながら、さらに進めていきたいと考えております。
次に、6点目です。避難者の立場に立った長期間の避難所運営をどのように考えるかという御質問です。まずは国や都、関係機関等と連携しながら、滞りなく支援物資を届けることや、避難所の衛生管理や被災住民の健康調査、健康相談を行うなど、心身の健康を確保することが重要であると考えています。発災時は避難所運営側も被災者の当事者ですので、運営側が避難者と連携協力しながら避難所を運営していくことが望ましいと考えています。そのための仕組みづくりに、引き続き、市としても取り組んでまいります。
次に7点目、想定外の対応についてでございます。想定を超える避難者が発生する可能性についての御質問ですが、本市では、災害発生時、必ずしも避難所に避難するのではなく、自宅が安全であれば自宅の生活を継続する在宅避難の重要性について啓発を行っているところであります。その上で、市では、全20か所の学校避難所の想定避難者数約2万人以上の避難者を収容できる想定となっています。また備蓄についても、避難所避難者約2万人に対して、約3万2,000人分の備蓄を行っております。
2点目です。想定外の事案にどう対応するのか考えておくべきではないかという御質問です。先ほども述べましたとおり、収容人数及び備蓄については、都の被害想定を上回る対策を行っております。想定外の事態を少しでも減らすことができるよう、過去の災害等を教訓にしながら災害対策に努めるとともに、災害には想定外の事案が発生するとの心構えを持ち、引き続き対応してまいります。
次に8点目、欧米の避難所との比較についてであります。
1点目の欧米の避難所と日本の避難所の違いについての御質問です。例として挙げられたイタリアは、欧州の中でも地震や山火事などの自然災害が多く、大規模災害時は国の指揮の下、政府やNPO団体が一体となり、資機材の備蓄、避難所設営や運営を行うこととされています。内閣府では、令和6年能登半島地震を踏まえ、災害対応の在り方を検討するワーキンググループを立ち上げ、海外の避難所運営について現地調査を行っています。橋本議員が御指摘いただいたとおり、報道等で見る日本の避難所との違いを感じるとともに、欧米に限らず、海外の避難所運営も参考にしながら、引き続き本市にふさわしい避難所の在り方について研究してまいります。
2点目です。日本の避難所の改善が必要ではないかという御質問です。欧米では、公的な大きな備蓄倉庫を各州にそろえることや、NPO団体とのつながりなど、災害予防の観点で見習うべき点が多くあります。このように国全体で災害予防の強化を図ることも重要ではありますが、避難所における市民の皆様の健康面を最優先に考え、武蔵野市における避難所の在り方を引き続き検討してまいります。
次に、9点目です。スフィア基準についてであります。
スフィア基準の考え方の有効性についての御質問であります。本市の地域防災計画は、内閣府の指針及びガイドラインを基に作成しております。その国の指針及びガイドラインの中には、避難所の質の向上を考えるときに参考にすべき国際基準としてスフィア基準が紹介されており、有効性はあると考えております。
次に、スフィア基準に照らして武蔵野市の避難所の現状をどう認識しているかという御質問でございます。スフィア基準では、トイレについては20人に1つや、居住空間は最低限1人当たり3.5平米と示されており、現在2人当たり3.3平米の武蔵野市の設置基準を考えると、避難所に、より多くのスペースが必要となり、限られた面積において課題が多いという認識を持っています。国際的な基準であり、有効性は理解をしておりますが、しかし、武蔵野市でどこまで取り入れられるかは引き続き研究をしてまいりたいと考えております。
次に、スフィア基準の考え方が武蔵野市の災害対策にどのように具体化されているのかという御質問です。本市の地域防災計画は、内閣府の指針及びガイドラインを基に作成しておりますが、スフィア基準を満たしている計画ではございません。仮に武蔵野市でスフィア基準を導入した場合にどのような影響があるかなどは、引き続き研究してまいりたいと思っております。
次に、スフィア基準の考え方をどのように具体化していくかという御質問です。先ほども述べさせていただいたとおり、有効性はあると考えておりますが、居住空間など、様々な課題も多いと考えております。武蔵野市の避難先でどこまでスフィア基準を取り入れることができるかについては、引き続き研究してまいりたいと思っております。
続きまして、国や都に対して避難所運営に対する人的・財政的支援の強化を求めるべきではないかという御質問です。御指摘のとおり、発災時には、避難所避難者と同様に、市職員も避難している可能性がございます。人的・財政的支援の強化については、他自治体の意見等も踏まえながら、必要に応じて市長会などを通じて国や都に要望していきたいと考えております。
以上でございます。