令和5年第3回定例会

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三島杉子
三島杉子
日本共産党武蔵野市議団現職

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6227◯20番(三島杉子君)  陳受5第21号 健康保険証の存続を求めることに関する意見書提出に関する陳情に賛成の立場で討論いたします。
 この陳情は、現行の健康保険証の廃止を中止して存続するように国に意見書を提出することを求める、そういう陳情です。厚生委員会の審査の中でも、陳情者は、陳情の趣旨を、マイナンバーカード保険証の廃止を求めているのではなく、従来の健康保険証を廃止せず存続するように国に求めてほしいということであると確認されております。初めにこの点を押さえさせていただきます。
 従来の保険証の廃止を中止し存続することに賛成する1つは、国民の声と現実の利用状況からです。従来の健康保険証廃止についての世論調査では、予定どおり廃止すべきという声よりも、廃止の延期、廃止の撤回を求める声のほうが圧倒的に多いです。NHKの世論調査では、7割が延期、撤回を求め、予定どおり廃止を求める声は、9月には2割を切りました。共同通信社の世論調査でも、延期や撤回を求める声が、6月の約72%から、7月には計約77%に増えています。7月に産経新聞社とFNNが実施した合同世論調査でも、延期や撤回を求める声は合わせて76.9%に上りました。一方、予定どおり廃止すべきだは20.9%にとどまっています。厚生労働省が8月に公表したマイナンバーカードと健康保険証の一体化に関する報告によりますと、全国の医療機関や薬局でマイナ保険証の利用率は、4月は6.3%でしたが、5月6.0%、6月5.6%、7月は5%と、3か月連続で利用率は下がっています。
 2つ目は、従来の保険証をなくしたら、医療機関も疲弊し、場合によっては廃業してしまう状況があるということです。これは利用者にとっても大きな問題です。開業医の方が6割以上加盟している全国保険医団体連合会──以下保団連といいます──が9月13日に公表した調査結果では、マイナ保険証で医療機関の窓口で負担する金額の誤表示等が確認された医療機関は全国で978か所に上ることが分かりました。本来は負担割合が1割なのに、2割と表示される。マイナ保険証で資格ありを確認し、レセプトを提出したら、資格がなく、返戻された。未収金が発生した。負担割合が明確でなく、結果的に返戻が1人分だけで、3回必要になったなどのトラブル事例が報告されています。1医療機関で50件のエラーが確認されたケースも3件ありました。また、回答した7,070の医療機関の80.8%の5,712の医療機関が、マイナ保険証の患者への対応で新たに受付業務が増えたと回答しています。レセプト提出時に本来の負担割合と異なる場合など、提出内容に不備があった場合は返戻され、医療機関は再提出が必要になります。不備がなければ報酬が支払われますが、数か月後になることもあります。マイナ保険証で使うシステム上において、旧字などが文字化けし、本人確認が困難になるトラブルも多いとの声も寄せられ、情報の修正作業で窓口業務の負担は増大しているという報告もあります。市内の医師、医療従事者の方からも、カードリーダーの読み込みがうまくいかないことが多いトラブルのお話を伺っています。マイナ保険証にした方にも、従来の健康保険証を持ってくるように伝えているそうです。厚生労働省も、6月に、従来の健康保険証の持参を呼びかける、そのようにしていました。
 厚生労働省は誤表示の問題について現在調査しているということですが、この状況で従来の健康保険証がなくなってしまったら、現在はトラブルが起きたときに従来の健康保険証で確認をして業務を進めている、その作業もできなくなってしまい、今以上に負担は増大してしまうのではないでしょうか。こうした結果も受けて、トラブルの防止策としても、従来の健康保険証の存続を強く訴えているということです。
 全国の各地方厚生局に出された保険医療機関の廃止数は、3月には1,103件の届出があり、昨年5月以降で最多となっています。また、現行の健康保険証が廃止される2024年秋までに閉院、廃院するとの理由で、オンライン資格確認システムの導入猶予の届出を国に出している医療機関は、保団連の推計で約1,000件に上ると見られています。過疎地域を中心に、全国で医師らの高齢化が進んでいるこの状況下で、オンラインシステムの新規整備や維持に多額の費用がかかること、それで閉院に至る事例も少なくないということです。
 3つ目は、医療を受ける方も、安心して医療を受けられなくなる状況があることです。市内の医師の方から、医療従事者として医療情報のひもづけが間違っているというのは危険で、とんでもないことという話を伺いました。患者さんにも、手続が難しい、情報を一つにまとめるのは怖いという方など、マイナ保険証にできない、ならない方がかなりいらっしゃる、保険証廃止はやめてほしいと伺いました。大病で、写真を撮りに行くのも手続をするのも体がきつい、どうしたらいいかという相談も受けました。マイナ保険証の取得にハードルがある方がいます。持ち歩くことに不安を感じる方もいます。受付でのカードリーダーの認証作業が苦手な方もいます。医療情報のひもづけの誤りがある、情報の反映に1か月半かかるという状況では、また、そうでなくても、そのときの患者さんの状況を把握するためには、どちらの保険証だとしても、変わらず問診票は必要でしょう。
 では、保険資格の確認はどうでしょうか。通院している医療機関、薬局の場合、従来の健康保険証は1か月に1回、受付に出すだけでよかったです。しかし、マイナ保険証では毎回カードの読み込みが必要です。しかも、ただカードをかざす、置くだけで済むわけではありません。自動改札機のタッチで通過とは大きく異なります。顔認証か暗証番号を選び、打ち込む、特定健診情報や薬剤情報、限度額情報の同意不同意を選ばなくてはいけません。今までのやり方が変わり、今までより複雑になったら、大きな負担を感じる方がいらっしゃいます。認知症や障害がある方の御家族からも、従来の保険証を残してほしい、そういう声が上がっています。具合が悪いのに、今までよりも多い、慣れない作業がつらい、そういう声もあります。さらに、読み込みトラブルで、余計な負担を感じることも起こり得ます。陳情者のお話では、読み込みトラブルで、受付に列になって待つような状態になってしまうこともあるということでした。保険診療を受けることにハードルができて、医療控えにつながっては大変です。
 岸田首相は8月4日の記者会見で、先ほど討論にもありましたが、現時点では保険証の廃止時期の見直しありきではないとした上で、マイナンバー制度の、この秋にまとまる総点検と、その後の修正作業の状況を見極めた上で、廃止時期の見直しも含め、適切に対応すると述べました。国民の不安が払拭されていない場合には廃止を延期する可能性に言及しています。
 そして、8月24日の社会保障審議会医療保険部会の厚生労働省保険局資料──これです──では、マイナ保険証を持てない、持たない方に資格確認書を発行する。期限を5年に延ばし、申請制ではなく、有資格者でマイナ保険証を持っていない方に届けるとしました。資格確認書の様式は現行の実務システムを活用するとあります。また、マイナ保険証に対応できない医療機関受診等のために、紙ベースの資格情報のお知らせを発行するともあります。こちらに参考書式がありますが、内容は今までの保険証と同じです。マイナ保険証を持たない方への資格確認書送付と、全被保険者への紙ベースの資格情報のお知らせが送付され、マイナ保険証と紙ベースの資格情報のお知らせのセット運用が保険診療受診のトラブルを避けるための形に当分なりそうだ、そういう状況のようです。
 健康保険証の存続が必要として挙げたその問題の解決のためには、従来の健康保険証と名称を変えた新たな紙を、同じような新たな紙を2種類発行することが必要となるわけです。新たに発行される2種類の、当分の間の発行と言っている資格確認書と資格情報のお知らせの役割は、従来の健康保険証と変わらないのではないですか。健康保険の有資格者であることを示す従来の健康保険証を存続すれば、新たに2種類の紙を発行する必要はないのではないでしょうか。そんなややこしいことをしないで、従来の健康保険証の廃止を中止して、従来の健康保険証を被保険者に今までと同じように送付すればいいのではないでしょうか。
 医療機関を守り、必要な方が保険診療を受けるのに余計な負担を感じずに、安心して医療を受けられるように、日本が築き上げてきた国民皆保険制度が崩れ、国民の命と健康が脅かされることがないように、従来の健康保険証の廃止を中止し、存続することが必要です。健康保険証の存続を求めることに関する意見書提出に関する陳情に改めて賛成を述べまして、討論を終わります。
             (5 番 東山あきお君 登壇)(拍手)

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